70歳からでも遅くない!ゆるい筋トレ&ストレッチで健康寿命を延ばそう
みなさんこんにちは、エンジョイ・ケアです。
「最近、何もないところでつまずくようになった」
「階段を上るのが以前よりつらい」
「椅子から立ち上がるとき、思わず“よいしょ”と声が出る」
年齢を重ねるにつれて、このような体の変化を感じることはありませんか?
運動をしたほうがよいと分かっていても、筋トレと聞くと「きつそう」「今さら始めても遅いのでは」と感じてしまう方も多いでしょう。
しかし、高齢になったからといって、体を鍛えることを諦める必要はありません。
若い人のような激しいトレーニングをしなくても、椅子から立ち上がる、かかとを上げる、ゆっくり体を伸ばすといった動きを日常生活に取り入れることで、足腰の筋肉を刺激できます。
大切なのは、一度に頑張ることではなく、無理のない運動を少しずつ続けることです。
今回は、70歳からでも始めやすい運動と、健康寿命や介護予防との関係についてご紹介します。
※持病がある方、治療中の方、関節や腰などに痛みがある方は、運動を始める前に医師や理学療法士などの専門家へご相談ください。
70歳からの運動が健康寿命を支える理由
健康寿命を延ばすには「動ける体」が大切

日本は長寿国ですが、ただ長く生きることだけが大切なのではありません。
自分で食事をしたり、買い物へ出かけたり、好きな場所へ歩いて行ったりできる期間を、できるだけ長く保つことも重要です。
健康上の問題によって日常生活が大きく制限されずに暮らせる期間は、「健康寿命」と呼ばれています。
平均寿命が延びても、寝たきりになったり、長期間にわたって介護が必要になったりすれば、ご本人だけでなく、ご家族の生活にも大きな影響が生じます。
健康寿命を延ばすために意識したいのが、次のような日常動作を続けられる体づくりです。
- 自分の力で立ち上がる
- 安定して歩く
- 階段や段差を上り下りする
- 買い物や家事を続ける
- 外出して人と会う
これらの動作には、足腰の筋力だけでなく、バランス感覚や関節の動き、持久力なども関係しています。
体を動かす機会が減ると、筋力や体力が落ちて外出がおっくうになり、さらに動かなくなるという悪循環に陥りやすくなります。
健康と要介護の間にある「フレイル」

高齢者の健康について調べると、「フレイル」という言葉を目にすることがあります。
フレイルとは、健康な状態と介護が必要な状態の中間にあたる、心身の活力が低下した状態です。
フレイルは、単に筋力が落ちることだけを意味するものではありません。
体の衰えだけでなく、心の状態や人とのつながりも関係しています。
身体的なフレイルには、次のような変化があります。
- 歩く速度が遅くなった
- 以前より疲れやすくなった
- 体重が減ってきた
- 握力や足腰の力が落ちた
- 外出する機会が減った
心理的なフレイルでは、次のような変化が見られることがあります。
- 何をするにも意欲が湧かない
- 好きだったことを楽しめなくなった
- 気分が落ち込みやすくなった
- 人と話すことがおっくうになった
社会的なフレイルには、次のような状態があります。
- 家に閉じこもることが増えた
- 家族以外の人と話す機会が減った
- 地域活動や趣味の集まりに参加しなくなった
- 一人で食事をすることが増えた
フレイルの重要なポイントは、早い段階で運動や食事、人との交流などを見直すことで、健康な状態に近づける可能性があることです。
「最近、少し弱ってきた気がする」と感じたときは、すでに手遅れなのではありません。むしろ、これからの生活を見直すための大切なタイミングと考えられます。
筋肉量や筋力が低下する「サルコペニア」

フレイルと一緒に知っておきたい言葉が、「サルコペニア」です。
サルコペニアとは、加齢や病気、活動量の低下などによって筋肉量が減り、筋力や身体機能が低下した状態を指します。
筋肉は、歩いたり立ち上がったりするだけでなく、姿勢を保つ、関節を支える、体温をつくるといった働きにも関係しています。
筋肉が減ると、次のような変化が現れやすくなります。
- 歩く速度が遅くなる
- 長い距離を歩けなくなる
- 階段の上り下りがつらくなる
- 重いものを持ちにくくなる
- 椅子や床から立ち上がりにくくなる
- バランスを崩しやすくなる
筋力が落ちて歩くことが難しくなると、外出や家事の機会も減ってしまいます。
すると、筋肉を使う時間がさらに少なくなり、筋力低下が進むという悪循環が生まれます。
この悪循環を防ぐには、激しい運動を一度だけ行うのではなく、普段の生活の中で筋肉を使う機会を増やすことが大切です。
移動機能が低下する「ロコモティブシンドローム」

もう一つ覚えておきたいのが、「ロコモティブシンドローム」です。
一般的には「ロコモ」と呼ばれています。
ロコモとは、骨や関節、筋肉、神経などの運動器に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった移動するための機能が低下した状態です。
例えば、次のような状態がロコモにつながることがあります。
- 筋力の低下
- 膝や腰の痛み
- 骨粗しょう症
- 関節の病気
- バランス能力の低下
- 脊椎や神経の病気
サルコペニアが主に筋肉量や筋力の低下に注目した言葉であるのに対し、ロコモは骨や関節、神経も含めた「移動する機能」全体の低下を表します。
フレイル、サルコペニア、ロコモは、それぞれ意味が異なります。
フレイル
体・心・社会とのつながりを含めた、全体的な活力の低下
サルコペニア
筋肉量、筋力、身体機能の低下
ロコモティブシンドローム
骨・関節・筋肉・神経などの問題による移動機能の低下
ただし、これらは完全に別々のものではありません。
筋肉が減って歩きにくくなると、外出する機会が減り、人との交流や食欲まで失われることがあります。
そのため、フレイル、サルコペニア、ロコモを予防するときは、運動だけに注目するのではなく、食事や睡眠、人との交流も含めて生活全体を整えることが大切です。
無理なく続ける筋トレ&ストレッチ
自宅でできるゆるい筋トレ5選
筋トレと聞くと、重いダンベルを持ったり、何十回もスクワットをしたりする姿を思い浮かべるかもしれません。
しかし、70歳からの運動で大切なのは、限界まで頑張ることではありません。
毎日の生活に取り入れられる運動を、自分の体調や体力に合わせて続けることです。
最初から「毎日30分運動する」と決めると、負担に感じて続かなくなることがあります。まずは1日5分、あるいは一つの運動を3~5回行うところから始めてみましょう。
ここからは、特別な器具を使わず、自宅で取り組みやすい筋トレをご紹介します。
転倒を防ぐため、安定した椅子や机の近くで行いましょう。
キャスター付きの椅子は動く可能性があるため、使用しないでください。
1.椅子からの立ち座り

椅子に浅めに腰掛け、足を肩幅ほどに開きます。
上半身を少し前に倒しながら、ゆっくり立ち上がります。立ち上がったら椅子の位置を確認しながら、ゆっくり座りましょう。
太ももやお尻など、立つ・歩く動作に欠かせない筋肉を使います。
最初は3~5回程度から始め、余裕が出てきたら少しずつ回数を増やします。
2.かかとの上げ下げ

椅子の背や机などにつかまり、背筋を伸ばして立ちます。
両足のかかとをゆっくり上げ、つま先立ちになります。その後、かかとをゆっくり床へ戻します。
ふくらはぎの筋肉を使う運動で、歩行時の安定や足の踏み出しに関係します。
5~10回程度を目安に、反動をつけずに行いましょう。
3.椅子に座って足踏み

椅子に深く腰掛け、左右の足を交互にゆっくり持ち上げます。
腰や背中が丸まりすぎないように注意し、無理のない高さまで上げましょう。
テレビを見ながらでも行いやすく、雨の日や外出できない日にも取り入れられます。
最初は30秒程度から始め、慣れてきたら1~3分程度を目安にします。
4.膝伸ばし運動

椅子に座った状態から、片方の膝をゆっくり伸ばします。
膝を伸ばしたところで1~2秒止め、ゆっくり元の位置へ戻します。反対側も同じように行いましょう。
太ももの前側の筋肉を使うため、立ち上がりや歩行の安定につながります。
左右3~5回程度から始めます。
5.壁を使った腕立て伏せ

壁から少し離れて立ち、肩幅程度に開いた両手を壁につけます。
肘をゆっくり曲げて体を壁へ近づけ、その後、壁を押すようにして元の姿勢へ戻ります。
腕や胸、肩周辺の筋肉を使う運動です。
床で行う腕立て伏せより負担が少ないため、無理なく上半身を動かせます。
壁が滑りやすい場合や、足元が不安定な場合は行わないでください。
体をゆっくり整えるストレッチ3選
筋力トレーニングだけでなく、体をゆっくり伸ばすストレッチも取り入れてみましょう。
ストレッチをするときは、勢いをつけず、呼吸を止めないことが大切です。痛みを我慢して伸ばす必要はありません。
肩回し

両肩を耳へ近づけるように持ち上げ、そのまま後ろへゆっくり回します。
肩甲骨を動かすことを意識しながら、前回しと後ろ回しをそれぞれ数回行いましょう。
長時間同じ姿勢で過ごした後にも取り入れやすい運動です。
ふくらはぎのストレッチ

壁や机に手をつき、片足を後ろへ引きます。
後ろ足のかかとを床につけたまま、前側の膝をゆっくり曲げます。
後ろ足のふくらはぎが心地よく伸びる位置で、呼吸をしながら20秒ほど保ちましょう。
太ももの裏側のストレッチ

椅子に浅く座り、片足を前へ伸ばして、かかとを床につけます。
背筋を伸ばしたまま、上半身を少し前へ傾けます。太ももの裏側が心地よく伸びるところで止めましょう。
腰を大きく丸めたり、無理に足先へ手を伸ばしたりする必要はありません。
運動を無理なく続けるための5つのコツ

筋トレやストレッチは、一度にたくさん行うよりも、生活の一部として続けることが大切です。
1.毎日の動作と組み合わせる
「朝食の前に椅子から5回立つ」「歯磨きの後にかかとを5回上げる」など、毎日の習慣と運動を組み合わせると忘れにくくなります。
新しく運動の時間を確保するのが難しい方にもおすすめです。
2.できた日に印をつける
カレンダーに丸をつけるだけでも、続けた記録が目に見えるようになります。
毎日できなくても問題ありません。
「一日休んだから、もうやめる」のではなく、体調が戻った日に再開しましょう。
3.家族と一緒に行う
一人では続きにくい場合は、家族と一緒に取り組む方法もあります。
離れて暮らしている場合は、電話をしながら一緒に立ち座りをするなど、お互いに声をかけ合うのもよいでしょう。
4.回数よりも安全を優先する
10回行う予定でも、疲れたら5回で終えて構いません。
回数をこなすことよりも、転倒やけがを防ぎ、正しい姿勢でゆっくり動くことを優先しましょう。
「少し物足りない」と感じる程度で終えることも、長く続けるための工夫です。
5.運動だけで解決しようとしない
筋肉を維持するためには、運動だけでなく、食事や休養も大切です。
食事量が極端に減っていたり、体重が急に落ちていたりする場合は、運動を増やす前に医療機関へ相談しましょう。
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など、たんぱく質を含む食品を、体調や持病に合わせて食事に取り入れることも意識したいポイントです。
まとめ
70歳を過ぎてからでも、体を動かす習慣を始めることに遅すぎるということはありません。激しい運動や、長時間のトレーニングを行う必要もありません。
まずは、次のような小さな運動から始めてみましょう。
- 椅子からゆっくり3~5回立ち上がる
- 机につかまり、かかとを5回上げる
- 椅子に座って30秒足踏みする
- 肩をゆっくり回す
- 寝る前にふくらはぎを伸ばす
フレイルは、健康な状態と要介護状態の中間にあります。
サルコペニアによる筋力低下や、ロコモティブシンドロームによる移動機能の低下を防ぐためにも、元気なうちから体を動かすことが大切です。
ただし、筋トレだけですべてを予防できるわけではありません。
バランスのよい食事、十分な睡眠、定期的な健康管理、家族や友人との交流も、心身の健康を守る大切な要素です。
高齢者の運動で大切なのは、頑張りすぎることではなく、無理なく続けることです。
今日の5分の積み重ねが、これからも自分の足で歩き、自分らしい生活を続けるための力になります。
できることから一つずつ、ゆるい筋トレとストレッチを始めてみませんか。
※この記事は一般的な健康情報を提供するものであり、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。持病や痛みのある方、転倒に不安のある方は、医師や理学療法士などの専門家へ相談したうえで運動を行ってください。